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音楽家、池谷隼人の日頃の想いや音楽についてを自由気ままに書き綴っていきます。 皆様のコメントやメッセージをお待ちしております。
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この時期は、日本の吹奏楽が最も熱い季節ですね!

そう、吹奏楽コンクールの時期がやってきたのです!

僕もいろいろな学校で講師としてお手伝いしたり、
個人レッスンの生徒さんがコンクールで演奏する曲をレッスンすることが多いのですが、
少々気になるのがブレスのこと。

今回はブレスについて考えてみましょう。


ブレス(breath)とは、呼吸のこと。英語では名詞です。
動詞の〔呼吸する〕はブリーズ(breathe)のようです。

吹奏楽器、つまり息を吹き入れて音を出す楽器は、
当然のことながら息を吸って吐く動作なくして音は出ません。

そして、息の吸い方や吐き方によって音が変わるという性質もあります。
その自由度は、魅力でもあり難しさでもあります。

さて、コンクール関連のレッスンをしていると、
生徒たちは積極的にカンニング・ブレスを用いて演奏に工夫をこらしています。

カンニングブレスとは、
自分が息を吸っている間に他の人が息を吐いて音を伸ばし、
他の人が息を吸っている間は自分が息を吐いて音を伸ばしておく
、というもの。

この方法は、音が途切れずに聞こえさせるための画期的な方法として知られています。

しかし、使い方を誤ると、演奏そのものがとても不自然になってしまいます。

カンニング・ブレスの有効的な使い道は、
音を伸ばして伴奏のような役割を担っているときに、息が足りなくて楽譜に書かれた長さの音を伸ばせない場合です。(まぁ個人的にはそういう曲は書かないで欲しいですが・・・w)

使い道として望ましくないケースというのは、
メロディー(主旋律)を担っている場合です。

順を追って説明しますね。


完成度の高い、良い音楽を演奏したい場合は、
「よく歌って」とか「表情豊かに」なとというアドバイスが定石です。
しかし、非常に曖昧でわかりにくいということもあります。

このアドバイスを具現化するには、
まず楽譜に書かれた情報を正確に演奏することです。
音はもちろん、ダイナミクスやアーティキュレーション、テンポ、リズムの正確さなども見落としてはいけません。
ここからが難しいのですが、
フレーズを研究していい表現をします。
これでもまだ曖昧なので、僕のレッスンでは一つ例を挙げています。

何か朗読や演技をするときのことを考えるのです。
例えば、「桃太郎」を朗読するときに、
文字を正確に読むのはもちろん、聞いている人が自然に聞こえたり、
情景が頭に浮かぶように読み上げるためにどうするか
を考えます。
すると、
句読点「、」や「。」を意識して、
小さなフレーズ・大きなフレーズを発見して、イントネーションやテンポ、間の取り方
を考えることになります。
その際に、ブレスを必ず取るわけですが、フレーズの切れ目で取るのが一般的です。
「む、かしむ、かしあ、るところにお、じい、さんとお、ばあ、さんがす、んでいまし、た」
と読まれては困りますし、カンニングブレスを用いると、
「むかしむかしあるところにおじいさんとおばあさんがすんでいました」
となり、まるでロボットがお経でも読んでいるかのようになってしまいます。。
例えば、
「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが、すんでいました」
という具合に、フレーズの切れ目に間を取り、そこで必要なブレスをすることで自然に聞こえます。

音楽の演奏もほとんど同じではないでしょうか。
フレーズの切れ目を発見し、そこでブレスを取ることで最も自然な音楽表現が出来るはずです。

しかし、実際に現場ではここで問題が生じます。
「なんだかメロディーがブツブツ切れて聞こえる」というのです。

この問題を解決するためにとった対策がカンニング・ブレスというわけですね。

しかし、これは根本的な解決にはなっていません。

原因は、ブレス前の音の処理と、ブレス後の発音が雑であることなのです。
つまり、ここを解決すれば、ブレスの時間をまぁまぁ取ったとしても、あまり不自然には聞こえないのです。

ここで、有効な練習方法があります。

小さなフレーズ(2~4小節くらいのものが多い)を演奏し、最後の音を吹き終わったら一旦音楽(テンポ)を止めて、たっぷりブレスの時間を設けて、十分に息を吸ったら次のフレーズを丁寧に演奏し始め、またフレーズの最後まで演奏したら一旦ブレスのためにたっぷりと時間を取る

というものです。

これは、吹奏楽器を演奏していて最も難しいテクニックの一つ、
[出来るだけ短い時間でたくさんの量の息をハイスピードで吸う]
というテクニックが苦手な人が少しずつ鍛えるための練習です。


さぁ、コンクールまであと僅か!
ブレステクニックを上手に使いこなし、音楽的な表現を目指して練習頑張って下さい!

ある程度身についたら、一旦合奏練習のときに試してみてください。
指揮者の先生にバレなかったら大成功!!(笑)
つまり、自然に聞こえたわけですからね♪


カンニング・ブレスはあくまで最終手段、使ってはいけないというわけではないでしょうけど、
メロディーを演奏する上ではほとんど必要ないはずです。
どうしても上手くいかないときにだけ使う奥の手だと思って、
基本的には使わない方向で練習に励んだほうがいいでしょう。

(しかし、もし吹奏楽コンクールの審査として、カンニング・ブレスを多用しフレーズ感のない演奏をした部分について高い評価をするような審査員がいたとしたら、それはとても残念なことです。)

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プロフィール
HN:
池谷隼人
年齢:
39
HP:
性別:
男性
誕生日:
1985/07/26
職業:
演奏家・指導者
趣味:
睡眠
プロフィール:
5歳よりヤマハ音楽教室へ通い、ピアノ奏法に加えて楽典やソルフェージュ、作曲などを学び、13歳でサクソフォンと出会う。

第3~4回静岡ピアノオーディション合格し、受賞者記念発表会に出演。

第14回管楽器個人重奏コンテスト高校生の部 東海大会第2位、中日新聞社長賞を受賞。

第2回ルーマニア国際音楽コンクール管楽器部門第3位を受賞。旧東京音楽学校奏楽堂で開催された入賞者披露演奏会ではバラード(トマジ作曲)を演奏する。

第36回新人演奏会オーディション合格、審査員特別賞を受賞。(東京国際芸術協会)第36回新人演奏会では室内小協奏曲(イベール作曲)を演奏する。

第1回ブルクハルト国際音楽コンクールで1~3位なしの審査員賞を受賞。(東京国際芸術協会)

第25回日本管打楽器コンクールセミファイナリスト。

第15回浜松国際管楽器アカデミー&フェスティバルに受講生として参加、選抜受講生によるプレミアムコンサートに出演。

現在、ピアノ伴奏をしながらサクソフォンの演奏活動および後進の指導にあたる。
ソレイユカルテットアルトサクソフォン奏者
トリオ「湊」のサクソフォン奏者兼アレンジャーとして活動中。
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2013/ 3/ 3(日)
静岡音楽館AOI
北山敦康サクソフォンリサイタル

2013/ 3/ 9(土)
小金井市民交流センター大ホール 
Monsieur KUDACCHI~サクソフォンの世界~


2013/ 3/27(水)
静岡市民文化会館中ホール
静岡高校吹奏楽部 第35回定期演奏会(サクソフォンゲスト出演)
使用楽器
<Soprano Saxophone>
楽器:YANAGISAWA S992PGP(ネック:銀製PGP「#195」)
マウスピース:Yanagisawa #7
リガチャー:SELMER ピンクゴールドメッキ
リード:Vandoren Traditional 3・1/2

<Alto Saxophone>
楽器:YANAGISAWA A9937PGP
マウスピース:Vandoren A28
リガチャー:魔法のリガチャン、Woodstone ピンクゴールド
リード:Vandoren Traditional 3, 3 1/2

<Tenor Saxophone>
楽器:YANAGISAWA T992 (ネック:管体シルバー、ピンクゴールドメッキ)
マウスピース:Vandoren T20
リガチャー:BG Traditional
リード:Vandoren Traditional 3 1/2
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